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暁の星と月
第7章 愛と哀しみの円舞曲
…けれど…と、続ける。
「…暁様が心配でした…」
「…え?」
月城の怜悧な瞳は表情が分かりづらい。
しかし、その中に深い哀しみの色を暁は見つけた。
「…まだ、大紋様を愛しておられるのですね…」
「…月城…」
暁は慌てて、貌を背ける。
暁の背中に月城の低い美声が響く。
「…僭越ながら申し上げます。…大紋様はもうすぐご結婚されてしまわれます。…大紋様を想い続けられても…暁様が傷つかれるだけです。私は、暁様が傷つかれるのは見たくはありません」
「…月城…」
「…もう、大紋様のことは、お忘れになられて下さい」
暁は月城を振り返り、睨むように彼を見上げる。
「…そんなこと…そんなこと、君に言われなくても分かっている!春馬さんはもう絢子さんのものだ!僕が想い続けても虚しいだけ…けれど…」
ふっと妖しい笑みを浮かべ、月城を見上げる。
「…春馬さんに作り上げられたこの身体は…夜毎彼を求める…。…頭では分かっていても…この身体の疼きは止めることが出来ない…。
…彼が欲しくて欲しくて…そんな浅ましい身体を持て余す…」
暁は華奢な細い腕で我が身を抱きしめる。
「…暁様…」
「…君は、梨央さんとはプラトニックだった。…ましてや君は異性愛者だ。
…同性愛者で、17の時から彼にすべてを奪われ…すべてを教え込まれ、盲目的に従ってきた僕の気持ちなど到底分かりはしないだろう…」
ふっと、暁は湿った淫靡な笑みを浮かべ月城の頬に手を伸ばす。
ひんやりと冷たい細い指の感触を、月城は身じろぎもせずに受け止める。
「…春馬さんは優しい人だ…。だから僕の歪んだ性癖を理解してくれて、敢えて酷いことをしてくれた…。
彼は…僕のいびつな身体と魂を丸ごと抱きしめてくれたんだ。
…肉欲だけでなく…僕の孤独な魂を救ってくれたんだ…。それが今頃わかった…でももう遅い…それに…」
暁の練絹のように白い滑らかな頬に涙が流れ始める。
「…気づいたとしても…彼とは結ばれない…結ばれてはいけないんだ…」
月城は痛みに耐えるように眉を顰める。
「…なぜですか?」
暁は首を振る。
「言えない…たとえ君でも…」
「暁様…」
振り切るように笑う。
「…でも、もう忘れる。…忘れて…一人で生きてゆく…だからもう…」
暁は目を見張る。
あっと言う間もなく暁は月城の水仙の薫りがする胸に抱き込まれていた。
優しい手が暁の背中を撫でる。



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