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暁の星と月
第8章 月光小夜曲
翌朝、暁は薫り高い珈琲の香りで目が覚めた。
…なぜ…珈琲の香りが…?
暁は不思議に思った。
家では部屋まで珈琲を運んで来る習慣はないからだ。
ぼんやりとした意識の中でそんなことを考えて、はっと目覚める。
…見慣れない部屋…。
ここはどこだろう…。

暁は自分が一糸纏わぬ姿で眠っていたことに気づいた。
漸く、昨夜の出来事を思い出す。
…そうか…
ベッドから身体を起こす。
…僕は、風間先輩と一夜を過ごして…それで…

「…暁?…起きた?」
次の間のドアが軽快に開き、バスローブを羽織った風間が貌を覗かせる。
暁は慌ててシーツで身体を隠す。
「…か、風間先輩…」
「忍だよ、暁。おはよう」
風間は銀のトレーを器用に持ちながら、軽やかに歩いてきてベッドに置いた。
「ホテル・カザマの自慢の朝食だ。カリカリに焼いたベーコンに、キドニービーンズ、エッグベネティクト、トーストにジャムは三種類、木苺にルパーブ、すぐり。
…季節のフルーツもたっぷり…。オレンジジュースは飲むかい?」
「忍さん…僕…」
戸惑う暁の肩に優しくバスローブを掛けてやる。
「家には連絡をしておいたよ。君は俺のホテルに泊まっていると。…執事が出たよ。暁様をよろしくお願いいたします…て。
君は愛されているね」
「あ、ありがとうございます…」
風間はベッドに腰掛け、暁を見つめるとにっこり笑う。
「暁は綺麗だね。…寝顔をずっと見ていたけれど、天使みたいだったよ」
暁は首筋を朱に染めてシーツで貌を隠す。
「…やめてください。恥ずかしいです…」
風間は小さく笑い、暁の白い頬にキスをすると甲斐甲斐しく世話を焼き始める。
果物の盛り合わせから苺を一粒取り上げると、その魅惑的な唇に咥え、口移しで暁に与える。
風間の唇と暁の唇が微かに触れ合う。
心臓が早鐘のように鳴り出す。
…昨夜はあんなに淫らな行為をしたのに…
キスだけでドキドキするなんて…
「美味しい?」
暁は餌付けされる雛のように、苺を咀嚼する。
甘く冷えた苺の果肉が乾いた喉を潤してゆく。
「…美味しいです…」
「良かった。何か欲しいものはある?どこか痛くない?お風呂は…後で一緒に入ろうか?」
暁は慌てて首を振る。
そんな暁を可笑しそうに笑い、貌を覗き込む。
「…ねえ、暁」
「はい」
風間の瞳は朝日の中で見ると琥珀色だ。
「俺を、恋人にしてみない?」
暁は眼を見張る。




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