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暁の星と月
第3章 暁の天の河
「…お帰りなさいませ。礼也様からご連絡がございました。暁様は大紋様とご帰宅になると。…お食事はお楽しみになられましたか?」
生田が暁のテイルコートを受け取りながら、尋ねる。
「うん。楽しかったよ。…でも、兄さんが緊急な仕事で途中で帰られてしまって。…兄さんはまだ?」
玄関ホールの柱時計を見上げる。
時計は間もなく、11時を指そうとしていた。
「はい。もう少しかかると仰っておいででした」
暁は綺麗な眉を寄せて、溜息を吐く。
「…兄さんは働きすぎだよね。…身体が心配だな…」
生田は穏やかに暁を安心させるように微笑む。
「確かにそうですね。…しかしながら、礼也様は頑強な方ですし、ご自分できちんと体調管理もお出来になります。あまりご心配になられませんように…」
「…そうだね」
生田は優しい。
小さな頃から毎晩礼也の帰りを待ち侘びる暁を、いつも静かに宥めてくれた。

「お茶か珈琲をお持ちいたしましょうか?」
暁は首を振り、笑顔で答える。
「大丈夫。課題をしたらすぐに寝むから。…生田も早めに寝んで」
生田は恭しく頭を下げる。
「…それでは、お寝みなさいませ」
「お寝み」
生田は階下への廊下へと向かう。
暁はああ言ったが、生田は主人が帰宅するのを見届け、出迎えるまでの一連の仕事を、決して下僕やメイド任せにはしない。
これから階下の執務室で、礼也の帰宅を知らせる玄関ベルが鳴るまで、事務仕事をしながら過ごすのだ。

暁はゆっくりと大階段に登る。
…手摺に置いた手をふと見つめ、最後まで暁の手を離そうとしなかった大紋のことを考える。

大紋の手は酷く熱かった。
暁が指を絡めて大紋の手を握りしめたのを、驚愕の表情で見つめていたが、すぐに暁の上回る力で握り返し、愛しげに暁のほっそりとした指に指を絡めてきた。
そして、一度も手を離さずにまるで愛撫するかのように暁の指を撫で続けたのだ。

その指先から、その強さから…暁は大紋が自分をあの温室での夜と変わらず…いや、それにも増して熱く激しく想ってくれているのを感じ取った。

…大紋さんは、やはり僕を想ってくれている…。
試したようで、申し訳なかったけれど…。
暁は美しいがどこか虚ろな眼差しでゆっくりと大階段を上がりきる。

そして…少し躊躇したが、自分の部屋を通り過ぎると、突き当たり奥の兄、礼也の部屋の前へと歩いて行った。












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