この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
暁の星と月
第3章 暁の天の河
兄の部屋の重厚なドアを静かに開ける。

「暁ならいつ私の部屋に入っても構わないよ。私の部屋の本も自由に読んでも良いし、書斎を使っても構わない」
礼也はそう暁に言ってくれた。
…兄さんはいつも僕を信頼してくれている。

美しく整った広い部屋…。
落ち着いたアイボリーと琥珀色の家具やカーテンで統一された趣味の良い部屋だ。
微かに礼也愛用のフレグランスが薫り、暁の胸は切なく疼いた。
大きなベッドはきちんとベッドメイクされ、上品な象牙色のリネンが掛けられている。

…ベッドサイドのココア色の小机の上に眼を遣る。
銀の写真立てに飾られた写真は、暁の星南学院入学の際、屋敷に写真技師を呼び撮らせた礼也と暁の記念写真だ。
テイルコートジャケットの制服にホワイトタイ、ピンストライプの黒いスラックス姿の暁はやや緊張した面持ちながらも、礼也に肩を抱かれながら嬉しそうに微笑んでいる。
隣で微笑む礼也は、やはり正装にホワイトタイ姿…。
まだ今より小柄だった暁の頭一つ以上は背が高く、堂々とした体躯はその男性らしく整った美貌と相まってまるでハリウッドシネマの俳優のようだ。

礼也は星南への入学を心より喜んでくれた。
編入試験の結果が、通常入学者の更に上を行くほぼ満点に近い結果だったことで、学院長からも賞賛の連絡があったのだ。
「…短い準備期間で、よく頑張ったな。お前は私の誇りだよ」
そう言って、暁を優しく抱きしめてくれた。
その時の喜びと幸福感は未だに忘れられない。

…暁は微笑みながら、記念写真を小机に戻す。
…と、その白く繊細な指がびくりと強張る。

…隣にそっと置かれていた銀の写真立てには…
兄の最愛のひと、北白川梨央の写真が暁を見つめていたのだ。
梨央は、写真でも分かる高価な白いレースのドレス姿に胸元には長い真珠の首飾り、白い帽子は…天使が纏うようなチュールが巻かれている…美しい黒髪はさらりと背中に垂らされ、清楚な美しさに煌めいている。
やや恥ずかしそうにカメラを見つめる黒く美しい瞳、繊細な彫刻刀で刻んだような鼻筋、愛らしい唇、透き通るような肌…。
まるで、西洋のお伽話の姫君のような夢のように美しい姿だ。
…おそらくは梨央の誕生日の記念に屋敷で撮らせた写真を礼也に贈ったのだろう。
礼也がその写真を手にした歓びが伝わってくるような写真だ。
暁は梨央の写真からそっと眼を逸らす。





/479ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ