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暁の星と月
第3章 暁の天の河
大きな白樺の木の下に、大紋の愛車のフォードが見える。
その車に寄りかかるように佇むすらりと背の高い一人の青年の姿があった。
青年…大紋春馬は、暁に気づくと手を挙げた。
暁は帽子に手を遣り、会釈する。

「わざわざお迎え?…愛されてるね、縣は」
風間は艶めいた笑みを浮かべ、暁を見る。
暁は戸惑ったように俯く。
「ごめんごめん。揶揄うつもりじゃなかったんだ。…大紋さんだろう?…馬術部のOGでは有名だから知ってる。オックスフォード大学に法科留学したハンサムな敏腕弁護士さんだってね。…縣の知り合いだったんだ」
「…兄の大学時代の親友なんです…」
「君の兄さんか…。兄さんは若き男爵だろう?時々、大会も見にいらしていたね。…君に余り似ていないけれど、大変な美男子だったな」
暁は秋に咲く花のように密やかに笑った。
「…兄と僕とは腹違いですから…。兄は正式な縣家の嫡子ですが、僕は…愛人の子供です」
途端に風間は、軽薄とも取れるような笑みを引っ込める。
そして、やや不器用そうに詫びた。
「…ごめん…」
叱られた子供のような表情の風間を暁は和ませるように笑いかけた。
「風間先輩が謝られることではないです。…僕が庶子なのは事実ですし…それに…」
ふいに暁はきらきらと輝く瞳で風間を見上げた。
「僕は兄に本当に可愛がって大切に育てていただきました。だから自分の出自に誇りを持っています」
一瞬、風間は息を飲み、眩しそうな顔をした。
しかしすぐに咳払いをすると、
「…縣は見かけによらず強いんだな。…入部してきたときは綺麗な女の子が入ってきたと思ったんだけどね」
と、またふざけた口調に戻った。
「風間先輩こそ、まさか馬術部にこんなに派手な不良がいるとは思わなくて、最初は怖くて目も合わせられなかったですよ」
暁の軽口は珍しい。
風間は嬉しそうに笑う。
そして、暁の胸のタイを直してやりながら囁く。
「…僕もこの後は南軽井沢の別荘で過ごす。良かったら遊びにおいで」
暁は意外そうに風間を見上げる。
「…敏腕弁護士が痺れを切らしているから僕は失礼するよ。じゃ、またね」
と、いつもの華やかな笑顔でアラブ種の愛馬に鞭をくれると馬首を返し、厩舎へと颯爽と駆けていった。
暁は暫く風間を見送っていたが、再び大紋を振り返った。
…大紋はやや心配そうな顔をしていたが、暁と目が合うと優しく微笑みかけてきた。





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