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暁の星と月
第3章 暁の天の河
大紋の車から降り、暁は目の前の別荘を見上げる。
アールデコ様式を小粋に取り入れた、瀟洒な建物だ。
白い漆喰の壁に、深緑の飾り模様がどこかスイスの山小屋風でとても洒落ている。
「…縣の別荘に比べたら小さいだろう?がっかりした?」
車から降り、暁の隣に立った大紋が言った。
暁は首を振る。
「いいえ、全然。…とても素敵なお家ですね。日本じゃないみたいです」
「そう?良かった。…山好きの父親が建築家にわざわざ注文したらしいんだ。…中は意外に広いから、伸び伸び過ごせると思うよ」
と、暁の肩に手を置き…しかし慌ててすぐに手を離し、少し緊張したように玄関のドアを開け、暁を中に案内した。

「…使用人も敢えて最少限度にしているんだ。人がいると寛げないと思ってね」
通いの料理人と家政婦、そして週に一度だけ庭師を頼んでいると大紋は言った。

玄関ホールは吹き抜けで明るい。
灯り取りが天井にあり、とても開放的だった。
壁には趣味の良い西洋絵画が飾られ、階段室には品の良い年代物の椅子が並べられ、居心地の良い空間になっていた。

「まずは君の部屋に案内しよう」
大紋が先導し、階段を登る。
二階の南向きの陽当たりの良い部屋が暁の部屋だった。
どうやら主賓室らしく、ベッドルーム以外に次の間と広い上に、隣室にはバスルームまで完備してあった。
「…こんなに良いお部屋…いいんですか?大紋さんのお客様がいらしたら困りませんか?」
「同じ部屋が向かい側にもう一つある。…礼也が来たらそこを使ってもらえばいい。…それに…この夏は君以外はここに招いていないんだ」
大紋が暁を見つめる。
え?…と思わず見上げた暁に、大紋は真顔で一歩近づく。
…大紋さんは兄さんと同じくらいの身長なんだな…と思った時に、暁の頭が優しく撫でられた。
そして
「…荷物を解いて、着替えたら下に降りておいで。お茶にしよう」
と、明るく声をかけると大紋は機敏に部屋を出て行った。
暁はふっと息を吐き、美しくベッドメイクされたベッドに腰を下ろす。

…僕が意識し過ぎなのかな…。
でも、そういえば…僕はまだ大紋さんに何も言われていない。
…大紋さんは本当に僕のことを好きなのだろうか…。

…分からない…。
けれど…。

暁は立ち上がり、窓の外に広がる雄大な浅間山を見つめる。
…確かめなければ…。
そうしなくては、僕の目的は叶えられないのだから…。

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