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暁の星と月
第3章 暁の天の河
晩餐は地元の料理人、比呂が腕によりをかけて作ってくれた心尽しの料理がテーブルに並んだ。
信州安曇野の虹鱒のムニエルと信州牛のフィレステーキは絶品だった。
打ち立ての手打ち蕎麦まで出てきた時は、蕎麦好きな暁は喜んで、挨拶に来た比呂に丁寧に礼を言った。
目の覚めるような美しい少年に笑顔で礼を言われ、比呂は家政婦の楓と感激して赤くなったほどだった。

「…旦那様はこんな天使みたいに綺麗な坊っちゃまといつお知り合いになられたのですか?」
と素朴に聞かれ、大紋も照れる。

確かに、今の暁の美貌は人目を惹くばかりではなく、どこか見る人の官能に訴えるような匂うような色香に溢れたものだった。
大紋が一杯だけと勧めたシャンパンで、白磁のようなきめ細やかな頬がほんのり桜色に染まっているのも、見ていて胸苦しいほどだった。

大紋は、暁と目が合ってはつい目を逸らせてしまう。
自分の邪な想いを見透かされてしまいそうな気がするからだ。
…暁は自分のことをどう思っているのだろうか。
もちろん慕ってくれているのは分かる。
しかしそれは、恐らくは頼もしい兄の親友…の域を超えてはいないはずだ。
自分と同じ気持ちでいてくれているとは、思わない。
…なぜなら…
大紋は密かに眉を寄せる。

…三年前の夜、縣の屋敷の温室で大紋は暁を抱きしめ、愛の告白をした。
今、考えるとなぜそんなことをしてしまったのか…。
夢のように美しく芳しい薔薇の花々と、その花よりも妖しい魅力を秘めた暁に魅せられたからとしか言いようがない。
あの夜は、あのまま暁を奪い去り、自分のものにしたいという衝動と闘うことに精一杯だった。
それに耐え切れたのは、暁が自分を恋の対象とは見てはいないことと、まだ彼が幼気な子供だったからだ。

…だが今は…。
暁はもはや大人になりつつある年齢である。
そして…
あの夜、暁はハイヤーの車内で自分から手を握ってきた。
妖しく、執拗に、誘うように…。
普段見せる楚々とした清らかな暁とは正反対のひんやりした魔性を秘めた姿だった。

…今、その暁は自分の手の内にいる。
長い間、恋い焦がれた少年が目の前にいて、自分を見つめている。
…手を伸ばせば届くところにいる…。

大紋は狂おしい情動を押し殺し、暁の黒目がちで濡れたような瞳を見つめながら囁いた。

「…暁くん、庭に出てみないか…。星が綺麗だ…」

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