この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
暁の星と月
第3章 暁の天の河
暁は大紋にいざなわれ、バルコニーから庭に出た。
まるで童話の森の中にいるような白樺の樹々に覆われた庭だった。
生垣には月明かりに照らされたオールドローズ、花壇には水仙、ストック、菫など多種多様の花が配色良く咲き乱れていた。
花一つにしても、主人の拘りや美意識が感じられる庭であった。

美しく刈り込まれた芝にはウッドチェアーが置かれ、振り仰ぐと神秘的な夜空を観賞出来るように配置されていた。

暁は大紋と並んで座る。
二人の間を沈黙が支配する。
遠くで気の早い虫の鳴き声が聞こえた。
大紋の沈黙から、彼が何かを言い淀んでいるのが分かった。
暁が口を開こうとしたその時、大紋が暁の方を向き直った。
「…暁くん。…三年前に僕が君に言ったことを覚えている?」
暁は大紋を見上げ、頷いた。
「…僕は、今も同じ気持ちだ。…いや、君を思う気持ちはあの頃よりもずっと強くなるばかりだ」
「…大紋さん…」
「…好きだよ、暁くん…」
月明かりに照らされた大紋の端正な顔は怖いほどに真剣であり情熱的だった。
「…ずっと君が好きだ。男の子で…10歳以上も歳下で…しかも親友の弟に…どうしてこんなに惹かれてしまうのか…この3年間、ずっと考えたけれど…君以外を好きにならなくてはともがいたけれど…やっぱり駄目だった。
…君以外を好きになることは、到底できなかった…」
大紋の手が暁の肩を引き寄せる。
「…大紋さん…」
大紋の手が、月の光に照らされ光輝くように白く美しい暁の顔を愛しげに撫でる。
うっとりしたような…しかしどこか切なげな声で尋ねる。
「…君は…僕が好き…?」
暁は大紋の吐息が触れ合う距離で瞬きもせずに見つめ返す。
そして、小さくだがはっきりと頷く。
「…はい…」
「…僕を…恋人として受け入れてくれるの…?」
「…はい…」
「…僕は、君の全てが欲しいんだよ。…身も心も全てが…いいの?」
暁は静かに微笑む。
繊細で美しく…儚げな微笑みであった。
「…いいです…。大紋さんなら…」
思わず大紋は暁の顎を引き寄せる。
唇が触れ合いそうな距離まで近づいたが…ふと、哀しげな微笑みを浮かべる。
「…礼也を…諦めるため…?礼也を忘れる為に、僕と付き合うの…?」

瞬間、暁の黒眼勝ちな大きな瞳が見開かれ、恐ろしいことを聴いたかのように恐怖に顔を引きつらせ、大紋の腕を押しやり、椅子から立ち上がった。







/479ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ