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暁の星と月
第3章 暁の天の河
翌朝、暁はすっかり寝坊をしてしまった。
いつもは学校が休みでも定時の6時には目覚めていたのに、壁に掛けられた柱時計を見ると、8時を指している。
慌てて起き上がると、傍らで寝ていたはずの大紋の姿はない。
…春馬さん、どこに行ったんだろう…。
そう言えば、ここは春馬さんの部屋だ。
もし、家政婦が入って来て、僕が春馬さんの部屋で寝ているのを見たら不審に思うはずだ。

暁は急いで脱ぎ捨てられていた白い夜着を羽織る。
…と、その時…。
軽いノックの音が聞こえ、ドアが開かれた。
「おはよう、暁。…眼が覚めた?」
「…春馬さん…」

大紋はさっぱりと髪を撫でつけ、涼しげな麻のシャツにベージュのスラックスという爽やかな出で立ちだ。
まだ、夜着姿な自分が恥ずかしくて、暁は咄嗟にブランケットに包まる。
「…おはよう…ございます…」
俯いて大紋の顔も見られない暁の側まで来ると、ベッドの傍らに腰を下ろす。
「…こっちを見て、暁…」
大紋の優しい声が響く。
「…嫌です…酷い顔をしてるから…」
素早くブランケットで顔を隠す。

昨夜は一晩中、大紋に啼かされ続けた。
暁が泣いて懇願しても、愛撫とキスをやめようとはしなかった。
…結局、暁はあれから2度も大紋の手によって若い精を吐き出させられた。
最後は薄い精しか出ないのに、大紋の容赦ない愛撫により恣意的に快楽を極め続けた。
その悦楽の深さに、泣きながら彼に取り縋る。
「…もう…むり…お願い…しないで…」
そんな憐れな美しい少年を見て、大紋はうっとりとする。
「…可愛い暁…もう離さないよ…」
大紋の愛の呪文と愛撫は朝まで続いたのだ。
…そんなことを思い出しているのに…
顔なんて上げられる訳がない。
「…こっちを向いて…暁」
大紋が、大きな手で掬い上げるように暁の顔を持ち上げる。
仕方なく、大紋を見上げる。
大紋の端正な切れ長の瞳が驚きに見開かれる。

「…綺麗だ…」
「からかわないでください…」
「…本当だよ。…この陶器のように白い肌…黒くて大きな瞳…品の良い鼻筋…そして桜の花のように可憐な唇…」
言葉を辿るように愛おしげに撫でる大紋を暁は少し拗ねたように睨む。
「…そんな顔も可愛いよ」
微笑みながら暁の唇に啄むような軽いキスをすると立ち上がり、爽やかに告げる。
「シャワーを浴びて着替えたら降りておいで。天気がいいから、庭で朝食にしよう」


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