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愛してるから罪と呼ばない
第2章 そのマカロンはまるで宝石
舌を伸ばして、私はつばきさんの肉薔薇を掻き分ける。ミルクと胡桃を混ぜた感じの匂いが溢れていた。透明な粘膜の源泉を探りながら、おりふしクリトリスを啄む。乱れた呼吸は扇情的だ。豊かなウエストが撓るのを視界の端に認めながら、しなやかに伸びた脚をさする。
「ぅぅゔ……ああっ、あん!ああぁっ……」
「つばきさん、とろとろです。いくらでも溢れてきちゃう……」
肉襞の入り組む赤い漿果は、焔にも似通う熱で私をいざなう。つばきさんの喘ぎが悲鳴に近づくにつれて、私の舌も速度を増す。
じゅるじゅるっ、ちゃぷ、ぴちゃ…………
顔も知らない、このところ人物像は輪郭の出来てきた、かの男。
彼が存在しなければ、つばきさんは私のものになっていたか。私はつばきさんのものになれていたのか。
映画や小説にしか見かけたことのなかったような感情が忍び寄る一方で、つばきさんの肉体が、私の黒を相殺していく。悋気という夾雑物が、確かに今、私の呼び水が掻き出しているつばきさんの劣情に、浄化される。
「はぁっ、はぁ!……はぁっ、あっ、んん、あん!…………」
未だかつて目にしたことのないまでに凄艶で、無防備だ。
つばきさんの嬌態は、けだし私が彼女にだけ許してきた一面でもある。
つばきさんの称賛だけは、私の内側を否定しない。
彼女の愛撫は私の女を引き出すけれど、私を彼女と同一にする。私を貶めない。そこに従属的な格差はない。私がつばきさんに献身しているように、つばきさんも私に献身していた。愛する肉体から快楽という恍惚を引き出す行為は、蹂躙と見せかけた献身と酷愛しか存在しない。
つばきさんのあえかな声が、乱れた姿が、シーツに濡れた皺を刻む。それでいて彼女は昼間同様に私の慕情を顫わせて、清らかだ。