この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛してるから罪と呼ばない
第3章 真夏の花達
「お揃いしたら双子になるね」
「ゆうり似合うよぉ!皇子様もあったけど、たまにはロリィタさん見たーい」
「着慣れないよ」
「経験積めば慣れるよぉ」
でも、と、ひなびの声がトーンを落とした。
ゆうりは、釣鐘型のスカートを揺らしてきびすを返したひなびを目で追う。
「多分、私はこのお洋服、買わない」
「気に入らないとこでもあるの?」
ゆうりもショーケースを離れてひなびに追いつく。
いつまで眺めてもきっと飽きない、悲しい結末とは無縁の人魚姫を彷彿とする親友が、砂糖菓子のような彩りの顔に影を落とした。
「ガラスは、壊れやすいから」
「え」
「透明なものは悲しいよ。掴みどころがなくって、いつまでも残っていてくれなくて。悲しくなるから、ガラスのお城は、お姫様が可哀想」
「──……」
それなら、二人の踏み締めている生き道も、こんな風に無色透明の煌めきで出来ているの?
ふっと、ゆうりは不安になる。
高校で同じクラスになって以来、今日まで一番の親友だった。自他ともに認めるほど仲が良くて、たまに交際しているのかと問われることもある。
それでも、この世のどこにも確かな永遠なんてない。
これだけ愛おしい関係も、掴まえていられる保証がどこにある?