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愛してるから罪と呼ばない
第3章 真夏の花達


「お揃いしたら双子になるね」

「ゆうり似合うよぉ!皇子様もあったけど、たまにはロリィタさん見たーい」

「着慣れないよ」

「経験積めば慣れるよぉ」


 でも、と、ひなびの声がトーンを落とした。

 ゆうりは、釣鐘型のスカートを揺らしてきびすを返したひなびを目で追う。


「多分、私はこのお洋服、買わない」

「気に入らないとこでもあるの?」


 ゆうりもショーケースを離れてひなびに追いつく。

 いつまで眺めてもきっと飽きない、悲しい結末とは無縁の人魚姫を彷彿とする親友が、砂糖菓子のような彩りの顔に影を落とした。


「ガラスは、壊れやすいから」

「え」

「透明なものは悲しいよ。掴みどころがなくって、いつまでも残っていてくれなくて。悲しくなるから、ガラスのお城は、お姫様が可哀想」

「──……」


 それなら、二人の踏み締めている生き道も、こんな風に無色透明の煌めきで出来ているの?

 ふっと、ゆうりは不安になる。


 高校で同じクラスになって以来、今日まで一番の親友だった。自他ともに認めるほど仲が良くて、たまに交際しているのかと問われることもある。

 それでも、この世のどこにも確かな永遠なんてない。

 これだけ愛おしい関係も、掴まえていられる保証がどこにある?
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