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愛してるから罪と呼ばない
第3章 真夏の花達

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 燦然たる西陽が青みがかった夜の兆しに沈んでゆく頃、ゆうりはひなびとホテルに戻った。

 大浴場へは交代で行くことにした。

 部屋はもちろん鍵付きだが、ゆうりはひなびの万が一に備えて一人ずつ留守を守ろうという提案に、同意した。彼女が無防備な姿で入浴している傍らで、平静を装える気がしなかった。


 猛暑に打ちのめされた身体を流して、久しくさっぱりしたところでひなびと留守を交代して、スマートフォンに入っていた通知に気づいた。
 差出人は、宮小路沙織(みやこうじさおり)、ゆうりの勤務している製薬会社の代表取締役だ。


"やっと夏休み初日ね。楽しんでいる?私は、今年は国内を旅行中。ホテルの近くに美しい淡水パールの雑貨店と、人気の海老煎餅のお店があるんですって。お土産、どうしようか悩んでいるの。ゆうりならどちらが良くて?"


 沙織と、昨日までずっと一緒にいた。

 ゆうりは沙織の何人目かの秘書で、就業中、彼女に付きっきりでいる。歴代の彼女達と違うのは、きっと夜が明けるまで一緒にいる仲でもあること。こうしたLINEに目を通しても、あの屈託ない笑顔がすぐに頭に蘇る。

 まずは定型的な挨拶文を打ち込んでいると、扉の開く音がした。
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