この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛してるから罪と呼ばない
第3章 真夏の花達
「…──っ?!」
ゆうりはびくりと震えたひなびを引き寄せて、耳を澄ます。
「……あ……あっ、ああんっ、あーーーー!!……」
「──……」
「…………」
声の主は、女だ。
微かな物音が伴っていて、もう一人、女の気配がある。
「あっあっ、ああ……」
ゆうりの腕の中で、ひなびの肩が強張っていた。
気丈な顔色を保ってはいるものの、怯えているのが見て分かる。
「喧嘩……かなぁ?暴力?どうしよ、従業員の人か警察に……」
「…………」
ひなびからそっと離れて、ゆうりは腰を上げた。
「ゆうり?」
「隣の部屋、行ってくる。向こう側にも客室はあるし、近所迷惑でしょ。やめてもらってくる」
「ダメっ、巻き込まれちゃう!」
「喧嘩じゃないと思うから、大丈夫。テレビの音だよ。音量下げてもらってくるね」
「…………」