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愛してるから罪と呼ばない
第3章 真夏の花達

* * * * * * *

 ゆうりがひなびと二日目の観光に選んだのは、英国庭園風の公園と、テディベアミュージアムだ。それから日が暮れると、二人、例の砂浜に降りた。


 夕まぐれの海岸は、巧妙な絵画を見ているようだ。さざなみの音が、しめやかな小夜曲を奏でている。


「ついに、念願の、貝拾い!」

「昨日は海外の人達に、写真撮らせてくれって並ばれて、時間押しちゃってたもんね。BABYやALICEって、外国でも人気あるんだ。結局あの人達、どこの国の人だったんだろ」

「うーん……頑張って英語喋って、断ってたのにね。ゆうりと私だって観光客で、一分一秒惜しいのに。英語は通じなかったから、多分、それ以外」

「アメリカ人っぽかったのに」

「人は見かけじゃないんだねぇ」


 ひなびが赤いフリルで縁どってある白いスカートを押さえながら、緩慢な動作でその場に屈む。


「見て見てー。貝」


 ひなびのすべすべの手のひらに、真っ白な巻き貝が一つ乗っていた。


「白いねー。ひなびみたい」

「私?」

「うん。ひなびと言えば赤やピンクだけど、なんか、やっぱり白い」


 ゆうりもひなびの隣に屈んで、貝殻を集めていた籠を置く。

 赤いリボンを結んだ籠の中に、ひなびの手から、白い巻き貝が入っていった。
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