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愛してるから罪と呼ばない
第1章 逃避行
香凜は、リリカに自身を重ねているのか。それとも会社員に扮したリリカを加虐している、上司役の女優達になりたいのか。
何事においても、選択することを心得なかった。香凜はこうした行為においても、自分の意思を甄別出来ない。
ただ菜穂が命じるままにディルドを動かして、メールで下半身の状態を報告して、命令を確認して、録音データやカメラアプリで香凜自身の状態を報告する。脚と脚の間は洪水だ。濡れても濡れても濡れ足りない。ともすれば全身がミルクに浸した肉にでもなったように、この寝室のあるじのいる時間帯であれば決して切れない堰でも切れたように、香凜は喘いでたわんでいた。
リリカのように犯されている。真昼から一糸まとわぬ姿になって、同じ性を持つ女に命じられて、服従して、ヴァギナをもの同然に扱われている。
「ああああんっ!あんっ、ああっ……ああああっっ…………」
香凜の声に、扉の開く音が重なった。
DVDの音声と、バイブレーターの振動音。それらもかき消す水音と、喘ぎ声。これだけ豪快な不協和音の中、何故、とるに足りない夾雑音が、香凜の鼓膜まで打ったのか。
扉には美衣子が立っていた。
瞠目した美衣子の目先に、いかがわしい映像と、全裸で脚と脚の間から猛々しいシリコン製の玩具を伸ばした義娘がいた。