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愛してるから罪と呼ばない
第1章 逃避行


「…………」


 つい、と、香凜のおとがいを冷たい指のまろみが持ち上げた。美衣子が香凜の真ん前にいた。

 息と息とがふれあう至近、美衣子が香凜を見澄ます瞳は、たとしえない恤愛を湛えていた。


 ちゅ…………


 羽が被さったのかと思った。メレンゲに蜂蜜を加えた、幻のように柔らかな羽根。美衣子が香凜に触れた唇は、それだけ甘く、一瞬だった。


 ちゅ……ちゅ…………


 左側からキスをして、正面、右側。小鳥が花蜜を啄むごとくの優しいキスは、美衣子の息子も好んでいる。同じキスだ。同じキスなのに、違う。


「期待した?」

「…………」

「ごめんなさいね」

「美衣子さん、何故、私をここへ……」

「驚かせてあげたかったの。困惑する貴女を見ていたかった」


 美衣子は香凜を許せないのかも知れない。愛息子を裏切って、彼の働いている日中、いかがわしいDVDを賞翫しながら、よその女と淫らなメールで喘いでいる。香凜は美衣子に振り回されながら、期待と同等の疑心を膨らませてもいた。


 違う。本当に香凜を咎めるつもりなら、こうもあたたかな目をしまい。今しがたのようなキスはしまい。


「ここからは──…」


 唇同士の釁隙を、美衣子のしとやかなささめきが縫った。


 いや。

 ううん、このまま。


 唇同士、繋がっていたい。美衣子の声も、聞いていたい。


 キスも言葉も間断なく注がれたい。香凜は欲望をもてあます。


「私の好きなようにさせて、香凜さん」


 ぎゅ…………


「私は、こういうセックスが好きなの」…………
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