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愛してるから罪と呼ばない
第1章 逃避行

「香凜、……」
美衣子の唇が香凜の口舌を塞いだ下方で、菜穂が淫部に吸いついた。昼間は結ばれている肩ほどの長さの焦げ茶の髪が、内股を焦らす。そこに往来する彼女の利き手は、猫じゃらしをなくしていた。
絵に描いたようなセレブリティの美衣子と違って、菜穂には等身大の親しみやすさがあった。明るい人となりが滲み出た風な奥二重の双眸に、健康的な程度の白肌、そこそこ着道楽でいかにも今時の二十代といった雰囲気の彼女は、背丈も香凜と変わるまい。外でばったり顔を合わせた時などは、人当たりが好く、密かに彼女に想いを寄せている女達は稀有ではあるまい。それでいて香凜に呼び水を施す時は、凄艶なまでに意地悪で、優しく、性に関して解放的だ。
くちゅくちゅ……ちゅ、じゅる…………
ちゅっ、ちゅぱ……ぴちゃ…………
香凜のキスを割り開いた美衣子の舌は、まるで彼女が香凜の陰部を愛でる時と同じほどの力加減で、羽根のような呼び水を広げていった。歯列の裏側、歯茎をなぞって口蓋をくすぐる。二つの味の混じった唾液を啜って、その触れるか触れないかほどの愛撫を施しているのと同じものを探り当てると、香凜の劣情をいやが上にも引きずり出した。
「あんっあん!あっはぁぁ……あっっ……」
「熱いこと……こんな格好でいじめられて喜ぶはしたない子は、おしおきしないと」
「香凜ならしっぽを振るだろうけどね。何せ、ノーパンノーブラでコンビニ行って、いやらしい雑誌をおかずにするくらいだもん。でも、……」
不意に香凜の視界を何かが覆った。布だ。美衣子か菜穂のどちらかの手が、香凜の後頭部に目隠しを結ぶ。

