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愛してるから罪と呼ばない
第1章 逃避行

* * * * * * *

 香凜達の持ち出した荷物には、生活に必要なものをほぼ含まなかった。

 洗濯機やカーテン、バスマットなど、日々を快適に過ごすために不可欠な類の品々は早い時点に求めたが、掃除用具さえ地道に揃えてゆくしかなかった。従って、香凜と美衣子はダンボールを開けながら、未だ毎日のように日用品売り場へ足を運んでいる。


「この食卓テーブル、素敵。装飾も少なくて手入れもしやすそうだわ」

「美衣子さん、意外と素朴なのがお好きなんですね。お嬢様育ちなのに」

「まぁ、女は誰でもどこかのお嬢様だったのよ。お坊ちゃんじゃないもの」

「そんな理屈言ったら埒が明きませんよ」



 スーパーマーケットの家具売り場には、平日でもそこそこ買い物客の姿があった。睦まやかな若いカップルから、二世帯、おそらく兄妹と見られる青年らの団体まで様々だ。

 洋服や化粧品には金に糸目をつけない美衣子は、衣食住の食住は好んで慎ましくしたがるところがある。
 その昔、遠い海の向こうでは、宮廷暮らしの貴族達が庶民の生活を模倣して娯楽にしていたという。香凜が食傷している類のものが、美衣子には物珍しいのかも知れない。かも知れないと思っていたが、このところ、美衣子の質朴趣味は、それだけではない気がする。


「ダンボールを卓袱台にしている今の生活も、悪くはないと思っているの」

「美衣子さんには似合いませんよー」

「懐かしい感じがしない?それに魅力的な女に限って、生活は慎ましいじゃない」

「うーん……確かに、引っ越してからの美衣子さんのお料理は、健康志向で美容に良いかも」

「私が美しいと思う人が生きてる世界を、真似てみたい。こんなこと、今まで出来なかったもの」
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