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愛してるから罪と呼ばない
第1章 逃避行


「元気なく見える?」


 今度のことも、話せるだろうか。

 欲望に準じた振る舞いの告白なら、容易い。出逢ってまもない博愛主義な友人は、香凜が不実を打ち明けた時も、可笑しがって咎めただけだ。良人と舅に背きながらも、彼らに差し響いたものはなかったからだ。仮に不実が明らかになったとしても、彼らが得るのは失恋の傷。珍しくもない傷だ。

 誰もが他人を踏み台にする。踏み台にしなければ得られないものは数知れない。


 ただし、香凜はあまりに奪った。傾倒したのが姑であったばかりに、誠二から、そして美衣子から、代え難いものを喪失させた。…………





「夕方、電話が……かかってきたんだ」

「誰から?」

「せいくん」

「それっ、……」

「美衣子さんの電話に」



 香凜の早とちりだった。美衣子が胸迫る思いで弁解していたのは、彼女の息子だ。

 安堵した。美衣子が愛を伝えていたのは女ではない。香凜は、安堵した自分自身にぞっとした。





 この日を境に、美衣子に影がつきまとうようになった。
 うわべは明るく振る舞っても、美衣子の足は、マンションの隣室から遠のいた。香凜と二人きりの夜でさえ、まるで減量中の人間が糖分や油分を摂るように、どこか罪悪感に耐えている。

 誠二は、美衣子に自分の誕生を詫びたという。自分が存在したばかりに、美衣子の自由を奪ったと。だが、香凜との仲は認められない。舅も美衣子らを片岡家から追放する、誠二は一人で世話していくと決めたらしい。
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