この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
愛してるから罪と呼ばない
第2章 そのマカロンはまるで宝石







 動画を配信しているプライベートは話しても、身近な人間にはIDまで教えない。優川さんや、彼女に出逢うまでに惹かれた人──…結婚退職していった、昔事務で世話になった先輩。彼女らの誰にも教えなかったし、別離以降、どこかで会うこともなかった。


 つばきさんへの関心も、いつか終わる。

 腹の底に鉛の重みを溜めながら、つばきさんとの泡沫を噛み締めて、もどかしさを喉の奥に仕舞い込んで、彼女の隣を超えるものは望まない。見るからに世間の求める女の子の姿をした私は、仮につばきさんが配偶者を持っていなかったとしても、けだし彼女に相応しいとは思われ難い。

 諦めることに慣れていた。一人でいることに麻痺していた。

 だからこそ、尚更、つばきさんの赤心が身にしみる。動画を配信して、今夜も配偶者が留守ということは聞いていたが、まさか深夜に、すぐに反応を受けるとは思わなかった。


"素敵なお姉さんです。(←調子に乗っちゃった)
マカロン紹介してくれて有り難う。これからは、きら音ちゃんのストーカーにならない程度に、たまにコメントさせてもらうわね"


 それが、動画サイトのつばきさんの形跡だ。


"電話して良い?"


 このLINEのあと、私は返信もしないで無料通話のボタンを押した。

 つばきさんに打ち明けられて、私は納得がいった。
 親しく話をしたその日に、つばきさんに動画を見せたこと。私は、きっとつばきさんに惹かれるために、誰のものにもなっていなかったのだ。

「もしもし」

『ごめんね、こんな時間に』

「いいえ。有り難うございます。コメント、有り難うございました。ごめんなさい、語彙力足りなくて」

『ううん』

 きら音ちゃんの大ファンだから。

 実は、ずっと知っていたから。


 諦念とは真逆の感情を伴うものが、久し振りに押し寄せた。
/135ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ