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愛してるから罪と呼ばない
第2章 そのマカロンはまるで宝石
つばきさんの指先が、私の恥丘をまさぐっている。ホイップクリームにまみれた繁みの根元が悲鳴を上げる。つばきさんの唇に啄まれる喉が悲鳴を上げるのと同じだ。
「ホイップクリームって、こんなに滑りやすかったかしら」
「あっ、深……」
「いただきます」
「んっ、……」
くちゅ……ぬちゅ……
私を這うキスが、気まぐれにスイーツを味わっていく。つばきさんはおりふし指にホイップクリームを掬って、私の唇にも含ませた。私は自ら自分のひとひらになったつばきさんの作品を賞味しながら、つばきさんのいたずらに喘ぐ。
びくびくっ……
「はぁっ!……あっん!」
水などどこに存在したろう。淫靡な音が、間断なく私達を沈めていた。ホイップクリームであって、もっと動物的な匂い。私の脚と脚の間の粘膜は、まるで別物の異物に顫えながら、濡れて粘膜とも錯覚出来る未知のそれを他人の指とも甄別出来ない。つばきさんのもの。憧れて、惹かれた、たぐいないフレーバーを扱う指だ。
つばきさんは私を見透ましていた。終古眺めていたがっている風な眼差しは、私自身を捕らえているのか。それとも、つばきさんの才能の結晶を惜しむのか。私は後者の可能性に縋りながら、刹那の永遠に溺れきる。
愛の享受を放棄していた肉体。愛し抜くことを知らなかった精神。他人を受け入れる性質を持たない肉体は、だのにつばきさんの指を欲して果実を開く。熟れた壺は怯えているのに、私は結合の未完成をこそ怖れていた。
所詮は、赤の他人のパートナーだ。男という夾雑物に所有された、美しい人。つばきさんのものにもなれないで、つばきさんを私のものにも出来ないのに、私は何故、痛みを伴わないとも限らない儀式に歓喜している?