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愛してるから罪と呼ばない
第2章 そのマカロンはまるで宝石
「あぁ……はぁ……」
目蓋を閉じると、きら音ちゃんの声にいっそう溺れる。きら音ちゃんの指の立てる音色が私をなぞる。
このまま眠ってしまうこともあれば、パンティの奥の火照った潤みを確かめにかかることもある。イヤホンは、私をとめどなくきら音ちゃんの奴隷にする。
そんな、明らかな羞恥に溺れた翌朝も、私はパートナーとの朝食の席に何食わぬ顔で出向いていた。
夜勤明けの彼が駅で買ってきたサラダと、私が休日に作り置きしている冷凍スコーンを解凍したもの。アッサムを煮てミルクティーが仕上がったところで、今朝も穏やかな空腹を促す匂いがキッチンを満たした。
「おはよう。目玉焼きいる?」
「今から仮眠。腹いっぱいになるってのもあれだし、自分で作るから良いよ」
「そう」
「つばきさんは?こんな小食で、店、しんどくない?」
「貴方の買ってくるサラダ、十分な食事になるのよ。私の好きな、こっちのやつ。朝からささみを食べていて、倒れる方がどうかしている」
「はは、土産、悩まなくて楽だよ」
「たまには悩んでね。こればかりだと飽きちゃうかも」
私達は睦まやかに手を合わせて、食事を始める。
共働きの夫婦の話題が尽きないのは、仕事の間に話を蓄えられる所以か。
私は昨日起きたことをパートナーに話して聞かせて、私も彼の話を聞く。こうして知らない世界を吸収する。
私達の話は間断ない。休日を二人で過ごしてもだ。働いていなくても、一緒にいても、私達が個々である以上、違う視点で同じものを見ているから、結局のところ二つの世界がそこに分岐するのだろう。星音ちゃんと私も同じだ。