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愛してるから罪と呼ばない
第2章 そのマカロンはまるで宝石


「調子に乗っちゃうじゃない」

「苺じゃなくても大好きですもん。つばきさんの作ってくれたものだったら、苦手なさつまいもだっていける気がする」

「本当に?今年の秋の新作、食べてくれる?」

「さつまいものマカロンですか?」



 私達はどちらからともなく唇を寄せた。可愛いだの綺麗だの、美味しいだの、美しい口舌ばかりを操る唇同士は、引き合わせられるために存在して具合に重なる。

 つばきさんの唇は、ほろほろととろけるメレンゲの弾力を帯びていながら、無味の甘みで私を酔わせる。夢ではないかと錯覚する。夢ではないことを確かめんと、私は唇の角度を変えて、つばきさんのキスを啄む。僅かに開いた隙間を縫って、つばきさんの舌を求める。


「はぁ、はぁ」

「ぁむ……ん」

「っっ、んん……」


 後ろめたい水音を立てて、私は唾液をつばきさんに擦りつける。舌先は唇より存在感が強い。唇がメレンゲなら、深いキスをする時に舐め合う部分は、さしずめスフレか。


「……はぁ、」


 呼吸が戻ると、つばきさんも唇の端が濡れていた。私は、またカップを傾ける。苺の香りをまとい直して、再三つばきさんを味わう。

 つばきさんは、ごく自然に私の身体に触れ出した。手の甲に、指と指との隙間、それから太もも。
 女の形をした私の部位は、それまでさんざっぱらあるじに忌まれてきたくせに、このひとときだけ、あるじの歓喜に補翼している。乳房が手のひらに覆われていた。つばきさんの指の腹が、私のピンク色のカットソーから、弾力ある豆粒を押す。


 くにゅぅ……
 がくがくっ……


「ああっ」
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