この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
愛してるから罪と呼ばない
第2章 そのマカロンはまるで宝石

* * * * * * *

 パティスリーHamadaには珍しい男性客の一人落ち着くテーブル席へ、私はプティガトーを乗せたトレイを運んだ。

 淡い柄物のシャツに、光の加減で臙脂が入った色にも見える明るいチャコールグレーのスーツ。平日の会社員にしては自由度の高いそのお客様は、併せてペパーミントとレモングラスのハーブティーも所望していた。


「お待たせいたしました。日向夏のムースとレモングラスミントティーでございます」

「つばきさんっ」


 会社員の大きな黒目は私を認めるや、ひときわ見開いた。檻から抜け出た獣にでも遭遇したのではないかという驚愕ぶりだ。


「後ろ暗い期待でもしていた?私はキッチンにこもって、このメンバーなら、ほとんど川原さんや三浦さんがお給仕するものね」

「嬉しいんだよ。来てくれるとは思わなかったから」

「三浦さんが教えてくれたの。貴方が来てくれているって」


 私はパートナーに賞味を促す。家族同様の相手でも、客として来店している以上、せっかくのお茶もスイーツも最高の頃合いで味わわせなければ、私の矜持に障るのだ。


「美味い」

「知ってるわ。もう少し面白い言葉が欲しいな」

「……ぷるぷると口の中で踊るムースが、しゅわっと溶けて……」

「擬音ばっかり」


 パティスリーが無人になることは平日度々あることだ。私達はその間、とりとめない言葉を交わした。

 閑暇が束の間というのも例にもれない。

 パートナーが私の諧謔に軽く腹を抱えていると、にわかに扉が開いて四人連れの女性が見えた。私はプライベートの表情を解いて、お客様の案内へ向かう。
/135ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ