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華の王妃
第9章 アンリア



「私には許されぬことだがな。」





とうに失ったものは今更あがいても戻ることはない。




夜も更けた中、少年のような王弟を密やかに王妃の寝所へと
導きながらこれからのことを算段する。



望まぬ中、男たちに抱かれなければならない
王妃の行く末を思って。



               *


「あっ・・ ・・ 」



薄い紗から透けて見えるのは美しい男女の卑猥な姿だ。


大きなお腹を気遣うように緩やかな律動で抜き差しを
繰り返す王弟はついこの間まで童貞だったとは思えないほど
巧みな手つきで王妃の乳房を揉みし抱く。


流石はあの王の実弟と言うべきか。
僅かな逢瀬で王妃を快楽へと導くさまは天性のものとしか
言いようがない。



たどたどしい手つきで王妃の身体を弄っていたのに。
すぐに王妃の中で果ててしまったのに。



先走りの汁を滴らせながら幾度も王妃の上で
夢中で腰を振っていた少年は。


愛した女の特別と呼ばれることでこんなにも
短期間で変わるものなのか。


ユリウスの計略に引き入れられた哀れな少年。


それは少し間違えば国をも揺るがすことで
けれど涙にくれる美しい姫の心を救う唯一の
ことだった。
















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