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華の王妃
第9章 アンリア
赤子は信用のおける乳母に預けて養育させている。
身分の低い下女との間に出来た庶子だと告げて。


定期的に逢う赤子はとても美しい子だった。
艶やかな黒髪に整った美しい顔。
髪色以外姫に似た子は私を見て嬉しそうに笑う。


「まぁ若君は父君が大好きなのですねぇ。」

「そうか?」

まだ少年である王弟には父だと言われても
あまり実感はない。むしろ弟と言っても通じるくらいだ。


「こんな可愛らしい子を残してご生母は心残りでしょうねぇ」

「身分は低かったが新床で契った女だ。これにはそれなりの
ことはしてやりたい。だが兄上に世継ぎがない今、無用な
争いの種にはしたくはない。」


王の乳母を務めていたこともある乳母はため息を吐くと


「ちょうど若君と同じ時期に死産だったとか。
気性の荒い方ですからねぇ。」

「王妃様は今、懐妊中だ。今度こそ世継ぎが生まれたら
この子を嫡子として屋敷に引き取ろうと思う。」

「まぁ。ご正室を娶られる前によろしいのですか?」

「構わないよ。娶る予定もないし、王も煩くは言われない。」

「まぁ兄王様と違って淡泊でございますこと。
でもせめて側女くらいは。素直で優しい人柄の、若君を
可愛がってくれそうな。私に心当たりがございますの。
ぜひお会い下さいませ。」


「まだ当分はいいよ。」



私が娶りたいと思うのはあの方だけ・・・・。




名も付けることも許されなかったリンダリアに代わり
王弟はギルティス・ウイアードと名付けた。


リンダリアは一度だけ子の名前を呟いた。
美しい眦から涙を流しながら。


嬉しそうに愛おしそうに。


一度だけ。


それっきりその名を呼ぶことはない。
王弟とのたまかさの逢瀬の時に近況を聞くだけだった。



汗ばんだ身体に唇を這わせながら全身から立ち上る甘い香りを嗅ぐ。
花のような香りはリンダリア自身の香りだ。


まぐ合えばまぐ合うほど濃くなるその香りに王弟の欲情が消える
ことはない。



(兄はいつもこの香りの中にいる・・私にもっと力があったのなら・・)



子が出来るほどの深い縁に結ばれながらも秘さなければならない
二人の道ならぬ関係は王弟を苦悩させていく。



もうすぐ子が生まれようとするのに。




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