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華の王妃
第3章 恋する人
あまりにも思い続けていたせいで神様がご褒美をくれたのだろうか。
リンダリアは夢の世界にいた。
「リンダリア、愛している。私の妃になって欲しい。」
まだ12歳の王女に大勢の求婚者が現れた。
アルゴスの王を筆頭にセレズの王太子レガードやバーカイドの王弟など皆大国の
王族ばかり。その中でもルーカスの王コーラスは年も19歳と若くその美貌も
国力もずば抜け諸国に名を轟かせていた。
艶のある黒髪と黒曜石のような瞳、浅黒い肌世の姫君はコーラスの姿を
見るだけで頬を赤らめ胸をときめかせるとか。
だがリンダリアはコーラスに初めてあったとき畏怖しか感じなかった。
それはどの求婚者にも当てはまることだが。
末の王女として両親からも兄弟からも掌中の珠のごとく育てられたリンダリアは
世俗に疎く年よりも子供っぽいせいか異性そのものが怖かったのだ。
リンダリアを溺愛する両親は国内の貴族に降嫁を考えていたらしい。
だが臣下たちは国の繁栄や国力の弱さを考え大国に嫁がせるよう進言した。
「バイエルは美しい王族を嫁がせ後見にし国を保ってきたのです。
王女と生まれたからにはリンダリア様もその例にもれず。」
普段は優しい大臣たちもその時ばかりは厳しい顔をしてリンダリアに
言い聞かせてきたのを覚えている。
ならば、と王は大勢の求婚者の中から結婚相手に考えたのはセレズの王太子だった。
23歳のレガードは銀髪の美しい貴公子で黎明な王子と名高く性格も穏やかだ。
アルゴスやルーカスの王に劣らず熱心に求婚してくれている。