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華の王妃
第1章 プロローグ
「んっ・・はぁ・・はぁ・・うう・・ 」
「いよいよでございますよ。さぁ思い切り息を吸い込んで下さい。」
寝台の天蓋からぶら下がる紐を強く握ると医師であるユリウスが大きく
開かせた足の間に入り込む。
王しか知らない筈の秘めやかなそこはユリウスが幾度も診察していた場所だ。
美しい色合いのそこは幾度も王に蹂躙され卑猥な色に変化していく様子を
つぶさに観察してきた。
「産み月にはまだ早いというのにやはり王の御子ですね。ずいぶんと大きい
ようだ。」
ユリウスの言葉に女官たちはほっとする。
早産で生まれた子はたいがいが死産だ。
助かっても目も出来ていない状態で小さく育ちにくかった。
だが姫の御子は幸いにも大きいらしい。
これなら、と誰もが期待を寄せる中、ユリウスによって取り出されるようにして
生まれた御子は産声も弱弱しく王に対面することなく生を閉じたのである。