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華の王妃
第4章 ユリウス

アルゴスの後宮もアトラス王の好みなのだろうか。
性に奔放であけっぴろげであった。

妃と呼ばれる者はなく、側室、妻妾と呼ばれる女たちが寵を争っていた。

王には高貴な女も踊り子上がりの女も同じなようで飽きるまで抱き
飽きたら臣下に下げ渡すすか、飼い殺しにするかのどちらかのようで。

それがリンダリアへの愛情の反動とユリウスが知ったのは王がリンダリアを
迎えに行くと宣言した時だった。


正確には拉致、誘拐だが。


女好きで女にダラシナイ。
残虐非道とも言うべき王が。


実は一人の女に一途であったとは。
そなたも共に参れと命じられ、むさ苦しい兵たちとともに行った先には
この世のものと思えないくらい美しく可憐な姫君がいて。


ユリウスのとうに失った雄の部分、ある筈のないものが刺激されたような
錯覚を齎した。




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