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華の王妃
第4章 ユリウス
ルーカスの王の留守中、わずかな供と兵に囲まれ神殿に参拝に来ていた姫。
子宝の女神ファナを奉ずる神殿に何を祈願したかは明白で。
国内だからと安心し油断していたルーカスの臣下たちの愚かさぶりが見え
盗賊の成りをした兵たちとともに自ら姫を捕らえに行く王は道化師さながらだった。
供の女官も兵も皆殺し。
目の前で行われた惨事に気を失った姫をしっかりと抱きしめて馬を駆ける王。
途中姫が目覚めぬように眠り香を嗅がせながら数日かけて国境を出る。
わずかな小休憩時に姫の唇に水や果汁を注ぎ、決して放そうとしない執着ぶりに
何とも言えない笑みがこぼれた。
国境を抜け追手の心配がなくなると、姫の体調を考え、王の命で簡素な野営が
作られた。
草の上に布を敷いただけの寝台に姫を寝かせ嬉しそうに見つめる王。
女手がない為に自ら姫の顔や手を浸した布で拭っている。
王の手が胸元を探り出したときユリウスは意地悪く待ったをかけた。