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華の王妃
第4章 ユリウス


「姫君にあらせましては懐妊の兆し等はございません。私の診たてたところ
月の物も終えられたばかりで今が一番孕みやすい頃と思われます。」


「ほう、そんなことまでわかるのか。流石だな、ユリウスよ。」



後宮の女たちの身体を管理しているユリウスは女達が王の種を不用意に孕まないよう
徹底させていた。
月の物をきちんと把握し孕みやすい時期に王の閨に侍る場合には避妊薬を飲ませていた。
どんなにお気に入りの女でさえもだ。そして万が一孕めば堕胎薬を飲ませ堕胎させる。



「俺の世継ぎは姫に産ませる。それまではどんな女にも産ませることはできぬ。」


身分の申し分のない女が孕んだたときでさえユリウスに堕胎させていた。
堕胎薬の副作用で女は二度と孕めない身体になってしまったが。


王家の行く末を憂いた重臣たちが王女で良いから産ませて欲しいと懇願したのは
昨年のことだろうか。


姫の婚姻で荒れ狂っていた王は王子なら始末するのを条件に身分の高くない女を
召すと神の思し召しか長子となる王女を儲けた。


王は女をすぐに王宮から出し王女は女官長の手に委ねられた。


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