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華の王妃
第4章 ユリウス
「おお、目覚めたのか。」
夫ではない声に心臓が跳ねあがる。
恐る恐る振り向いて見れば薄明りの下でもわかるのは何も身に纏っていない
男の身体だった。
「久しいな。姫よ」
ぞっとするほど低い声はどこかで聞いたような気がしないでもない。
やがてリンダリアを覗き込むようにして姿を現した男を見て、ひぃっと
声が漏れた。
一言で言えば圧倒される。
どこまでも男臭く、野性味の溢れた容貌に幼かったリンダリアは恐怖を
覚えたものだった。
年かさの女官たちは精悍で美丈夫だと噂していた。
だが両親や兄弟たちの繊細で美しい容姿を見慣れたリンダリアにとって
数ある求婚者の中でも一番遠い存在だった筈だった。
「どう・・して・・ ?」