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華の王妃
第8章 女官長
貴族の娘でなければ女官になれない掟の中でマールは父親の後見を得て
王付きの女官となった。
大臣の娘なら王の妃にも側室にもなれる身分なのに只の女官としたことで
口さがない者たちは凡庸なマールの容姿を見て密かにあざ笑う者もいたが
そんなマールを庇い取り立てたのは何を隠そう王であった。
マールの教養の深さや他の女官にはない勤勉さと賢さを王は大層気に入ったらしく
様々な官職を得て23歳の若さで女官長に抜擢された。
野心家で残忍、好色と評判の王だがマールの目には大層な美丈夫で明るく闊達な
魅力溢れる男として映った。
王は後宮に沢山の女たちを置いたが飽きやすく、気に入らなければ家臣や兵に
下げ渡したり時には激情のまま殺したりもした。
感情の起伏が激しいのか大臣たちの首もよく挿げ替える。
だが忠臣厚い大臣や貴族は重く重用し様々な改革を行い国を豊かにしていった。
英雄色を好むとは王の為にあるような言葉である。
王は次々と領土を広げ、女を抱いてはマールの許へと帰ってきた。
そう、高貴な姫を後宮に迎えても王にはいつまでたっても王妃は愚か
側妃をも迎える気配がない。
お気に入りは数人いるがそれは欲望の捌け口に過ぎず、ついにはマールを
王妃にと注進する臣下もいた。