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華の王妃
第8章 女官長

「いえ、厳密に言えば思う通りにしようとする節があるのです。
これは私の単なる勘ですけれど。」
「ほう。」
他人事のように呟いてみたが女の勘は意外と鋭いものだ。
ましてや男女の色恋沙汰なら猶のこと。
あの女官長が王に恋しているとは思えないが特別な感情を持っていることは
ユリウスでもわかる。
崇拝とか忠義とか言った類のものだろうが。
「私は王妃様を大切な女主人と仰いでおります。身近な幾人かの女官も
同じように思ってお仕えしております。心ならずも異国へ連れて来られ
不本意な暮らしの中で王妃様は気高くお優しい。
他の方のように威張ったり酷いことをさせたりしませんし。
仕えやすい良い主人と皆が思っております。」
ですから。
と言葉を添えユリウスに訴える。
「この国でほんの少しでもいい、幸せだと、楽しいのだと思って頂きたいのです。
あの女官長は王妃様には合いませんわ。」

