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雨 音
第1章 記憶

ちん、とエレベーターがついた音がする。
「じゃあ、俺行くな。
葉瀬、なんかあったら遠慮なく連絡しろよ?」
そう私の目をじっと見る。
軽くうなづいて、ありがとうというと、にっと笑って加賀見はエレベーターを降りた。
少し見送った後『閉める』ボタンを押しながら
「絵里ちゃんその話はまた飲みに行ったときにしよっか」
今までの経験から、絵里ちゃんは口に出してすっきりしたい派だと思ったからそう提案すると、
「雫さんは加賀見さんと付き合ってるんですか?」
「…はぁ?」
いきなり話が変わり、加賀見との関係を聞かれてすっとんきょんな声が出てしまった。
ちん、丁度私と絵里ちゃんが下りる階に到着して一緒に降りる。
「…加賀見とはただの同期だよ。」
「そうなんですか~?…あ、飲みの件よろしくお願いします!忘れないでくださいよ?」
ちょっと疑ったような目をしていたのは見ていなかったことにしよう。うん。
「はいはい。いつがいい?」
「んー…雫さんが良ければ今日とか。」
「今日…」
携帯で天気予報を調べたらお昼には止むようだった。
「うん。大丈夫。
じゃ、仕事しっかりして定時までに終わらせること!」
「やったぁ!はーーい」
そういってうれしそうに小走りで部署に入って元気よく挨拶をする絵里ちゃんを可愛いなぁなんておもった。

