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雨 音
第1章 記憶

「おはようございます」
そういいながら入ると、
『あ、部長!おはようございます!』
『おはようございます~』
なんて声が帰ってくる。
いつも早めに来るから、部屋にいる人数はいつもの4分の1いるかいないかくらいだった。
「あ、そういえば今日取りに行く資料…。」
最近は癖になってしまった独り言を言いながら荷物を置いてまた部屋をでる。
すでに他の部署の人が昨日のうちに仕上げてくれているだろう資料を資料室に取りに行く。
資料室系は地下一階に置いてあるはずだ。
そう思いながらもう一度エレベーターに乗ると…
「…っは?」
下に行きたいのに上に進んでいるのだ。
「うわぁ…見てなかった。」
まぁ急いでもないからいいのだけど時間を無駄に使っている気がしてため息が出る。
ちん、と音が鳴ってドアが開く。
「あっ、どうぞ。」
エレベーターに入ろうとした男性は私が下りると思ったのか、ドアを押さえて待ってくれていた。
「あ、その、ほんとは下に降りたk…」
ふとドアを押さえてくれている人の顔を見て、一瞬、見惚れてしまった。
優しい声の人だな、と思ったその人の顔はとても整っていて染められていない黒髪はその人の清潔感を余計に引き立てていた。

