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サイレントエモーショナルサマー
第8章 燃ゆる
◇◆
浩志に連絡をいれたら来てくれるだろうと思ったが、店に予約を入れていた訳ではないし帰宅することにした。
お気に入りのハーブリキュールとジンジャーエールはまだ残っていた筈だ。レモンと簡単につまめるものを買って自宅へ向け歩き出す。
そうだ郵便物をチェックしておこう。共用部分のポストに寄って中を確認していると後ろからがばりと抱き着かれた。
「…!」
誰だ、と思ったが胸を鷲掴みにする浅黒い手を見て正体を察し、顔を後ろに向け溜息を吐く。
「隼人。人来るとこでは辞めて」
「しーちゃん最近なんで部屋来てくんないの?まさか恋した?男出来た?」
「いや…ほら、隼人遠征だとかなんだとかで居なかったでしょ」
「とっくに帰ってきてるし。来ないから生理かと思ったわ。しーちゃん生理長すぎじゃね?」
「あんたもう1回性教育勉強した方がいいよ」
「じゃあ、しーちゃんが俺に教えてよ」
辞めろと言っているのに隼人の手は掴んだ胸を離さない。ぱしりと叩いてやっと離され彼の方へと振り返る。
「今から部屋来てよ。俺、溜まってんだよね」
「溜まってようがなかろうが2発しか出ないくせに」
「うわ。その口今ここでチンコ突っ込んで塞いでやりてーわ」
にやりと笑って親指を私の口にいれようとするが頑なに拒んだ。イエスとも言ってないのに隼人は私の腕を掴むとエレベーターへと引きずっていく。
私の城は5階の角部屋だ。隼人はそこまでいかず、505号室の前で立ち止まるとデニムの後ろポケットから鍵を取り出した。
日に焼けた浅黒い肌とつんつんと逆立てた黒い短髪。彫りの深い顔立ちの青年、奥村隼人は藤くんとセックスをするようになるまで私の欲を満たしてくれていたお隣さんだ。