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サイレントエモーショナルサマー
第8章 燃ゆる
隼人との出会いは3年ほど前に遡る。その頃の私は今の会社に入社する前で既に性的欲求に弾けたバカな女だった。前日にハンティングした男がとんでもないドМで、俺のアナルを開発してだのなんだの言われた挙句、挿入がなく、むしゃくしゃしていたことは今でもよく覚えている。
夜の街を行き交う人々が見えるカフェの窓際の席でバーへと狩場を移そうかと思いながら煙草を吸っている時に隼人は現れた。
ジュースのグラスを私の飲んでいたコーヒーのカップのすぐ傍に置くと私の手から吸いかけの煙草を慣れた様子で奪い取って、旨そうに吸い、耳元で言ったのだ。
― おねーさん、犯してあげようか
短い言葉で彼が私の欲求を察しているとわかった。ジュースは一口も飲むことなくホテルへなだれ込んだ。それきりだと思っていたのだが、数日後マンションのエレベーターで再会し、お隣さんであることが判明。以来、性癖がばっちり合致した彼は私のメインディッシュとなった。
「なんでまだ服着てんの?早く脱ぎなよ」
私を部屋に押し込んでテレビを点けた隼人は煙草を咥えながら器用に服を脱いでいく。いつ来ても散らかった部屋だな、と思った。ゴミはきちんと捨てているようだが衣類やらなにやらがそこら中で折り重なっている。
リビング部分とベッドルームを仕切るパーテーションは開けっ放しで部屋がいっぱいになるキングサイズのベッドが視界に入った。前に来た時はなんだか派手な柄のシーツがかかっていたのだが今日は黒いシーツになっていた。
「しーちゃん、早く」
藤くんとは系統の違う男くさい顔立ちで私をしーちゃんと呼ぶのは不似合いだなといつも思う。裸になった隼人はまだ長い煙草を適当な缶に押し込んでベッドの下から黒い大きな箱を引っ張りだす。