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サイレントエモーショナルサマー
第9章 その薔薇の色は、
その気になれば結局藤くんは私を抱くのだと高を括って、腕から抜け出そうとすると目つきは険しいまま口元だけがにやりと笑った。出た。また嫌な予感がする。
「ふ、藤くん?」
「いいこと考えました」
「きゃっ!え、なに?」
お姫様抱っこで立ち上がる。慌てて首に抱き着く私の髪にキスをして器用に室内を進むと浴室へと向かった。身体を下ろして浴槽の縁に腰かけるように言うと容赦なく頭からシャワーをかけられた。
「なにすんの!」
「はい、脱いでください」
「…いやだ。藤くんなんか企んでる」
「脱がないと監禁しますよ」
「私のこと困らせたくないんじゃなかったの?」
「……よく覚えてますね」
びしょ濡れの私にキスをして背中に手を回してくる。濡れたブラジャーのホックを外して放り出すとショーツへと手をかける。
「シャワーで濡れたにしてはやらしい匂いしますね」
抵抗虚しく脱がされたショーツのクロッチの匂いを目の前で嗅がれ、流石の私もかっと顔が熱くなった。会社のアイドルがしれっとこんなことをする男だなんて知っているのは社内では私だけだろう。
「…濡れてますね。まだなにもしてないのに」
「き、キスしたじゃない」
「キスだけで濡れちゃうんですか」
「これは藤くんだけだよ。ほんとに」
「…!」
藤くんの頬が赤くなる。その顔を見せたくないのかまたキスをしながら長い指が膣口を撫でる。今日は風呂場でか、と思うときゅんと下腹部が疼く。
「藤くん…もっと、」
「ダメ。お預けです」
「なんで、」
「キスもセックスも全部終わってからですよ」
「全部って?」