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サイレントエモーショナルサマー
第2章 6月某日金曜日
「…あれ?浩志は?」
「部長から呼ばれたみたいで今さっき出ていきました。埋め合わせするって言ってましたよ」
「人気者め…次はフレンチにしてやろっと」
戻った先で浩志と藤くんがどんな話をしているだろうと思っていたが、そこに居たのは藤くんひとりだった。これは好都合。
元々座っていた席には戻らず、藤くんの隣に座った。
些か予想外と言いたげな顔が私を見る。そっと微笑んで、藤くんの太腿へと手を伸ばす。
「……出ましょうか」
私の手を掴んで席を立つ。会計は済んでいたらしく、そのまま店を出た。ああ、ジェラートを食べ損ねた。そんなことを考えながらタクシーを停めるべく視線を巡らせる藤くんの顔を見上げる。
「ね、志保さん」
「なに?」
「俺と付き合ってくれますか」
「…………」
「じゃあ、セックスしましょう」
歪んだ顔。うん、と答えるとタイミング良く一台のタクシーが停まった。