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サイレントエモーショナルサマー
第10章 強制エンカウント
「都筑さんにお泊まりするような相手がいるって知ったら藤のやつ抜け殻になっちゃいますよ」
コピー機は横並びで2台設置されていると言うのにミヤコちゃんは並ぶように私の後ろに立ったまま尚も言葉を紡ぐ。安心してください、お泊まりの相手はその藤くんです。
「大人ですからね、そういうときもあるよ」
「………ふうん」
なんとなく、ミヤコちゃんはこの会話を藤くんにそっくりそのまま報告するような気がした。まあ、彼女がそうしたとしても藤くんを喜ばせるだけだ。
服どうしよう、家に帰っていたら間に合わないと慌てる私にギリギリ違和感のなさそうな自分のシャツをチョイスしてくれた訳だが、それを同期の子に見抜かれているとは。
ノーブラタンクトップで俺のシャツって興奮しますね、と無邪気な顔を見せた藤くんにパンチをくれてやって浴室で放置され、やや湿ったブラジャーをつけた時の心地悪さが肌を這う。
「私、都筑さんのそういう話もっと聞きたいです。今度女子会しませんか?」
「……あ、うん?私ちょっと予定が急に入ったりするからなぁ」
「じゃ、セッティングするんで来れたら来てください。総務の子とかにも声かけていいですか?」
曖昧な私の返事を受け、にこりとするとミヤコちゃんは去っていった。コピーじゃなかったのか。
「…浩志、私は女子会に誘われたよ」
「………お前、女子だったのか」
デスクに戻って短く言うと浩志は口をあんぐり開けてから短く言った。