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サイレントエモーショナルサマー
第11章 平穏か、あるいは、

「……なんか藤くんに抱き着きたくなった」
「………熱でもあります?」
「ないよ」

藤くんの腕が背中に回ってくる。髪を撫でながらぎゅっと抱き締め返してくれる腕はとても優しい。彼の匂いを鼻一杯に吸い込んで目を伏せた。暫くそうしてから、ちょんと彼のシャツを引っ張ると抱擁を緩め、キスをくれる。やっぱり藤くんのキスは甘ったるくて癖になる。

「……もっと、」

微笑んで、柔く顎を撫でで、もう一度キス。彼の下唇を食んで舌をいれようとすると藤くんは慌てた様子で顔を離した。

「志保さん、ダメです。そこまでしたら俺、勃っちゃうんで」
「勃ってもいいじゃない」
「いやいやいや、ダメですよ。俺が勃ったら長いの分かってるでしょ。トイレって言って抜けてきてるのに流石にバレますよ」

ね、ダメですよ、と髪を撫でられ渋々作業に戻ることにする。

「…今日は予定どうですか」
「今日はミヤコちゃんたちと飲みに行くことになった」
「え、津田とですか」

今日の私は大人気だな。1日に3人から予定を聞かれるとは。
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