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サイレントエモーショナルサマー
第12章 融解の兆し
やっぱり晶と同じ色だ。でも、藤くんが私を見る瞳はとても優しい。昨晩の森さんの発言が無くてもそう感じただろう。
「明日は来てくれますよね?」
「あ、えーっと…うん」
「…なんか歯切れ悪くないですか。嫌なら言ってください」
「ううん、嫌じゃないよ」
明日はまだ藤くんの家に行ってもセックスは出来ない。流石の私でも生理中のセックスはそそられない。あの噎せ返る血の匂いは気持ちを見事に萎えさせる。ぺろっと生理だから、と言ってしまえばいいだけなのだが、喉の奥に言葉が引っかかって出てこない。隼人には抵抗なく言えるのに。
「なんかありました?」
「……私、変かも」
「昨日からちょっと様子おかしいですけど、変態って意味なら前からですよ」
「…結構な言いようだけど藤くんって本当に私のこと好きなの?」
「好きです。淫乱で俺のキスでとろんとしちゃう志保さんが大好きです」
「…そっか」
こういう時、何と答えたらいいのだろう。なんと答えたら藤くんは喜んでくれるのだろう。自分でも何故そんなことを考えるのか分からなかった。それに、セックスが出来ないと分かっていながら藤くんの家に行きたいと思う自分が居る理由も分からない。
ちゃんと人の好意というものに向き合ってきていれば理解することが出来たのだろうか。