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サイレントエモーショナルサマー
第13章 confusione
「ていうか、志保さんやっぱり様子おかしいですよね。体調悪いんじゃないですか?」
「…体調は、悪くない」
この数日で今まで考えなかったことばかり考えてしまう自分に戸惑っているだけだ。お弁当を食べ終えてそのまま藤くんが座っている方とは反対へ横になる。すかさず彼の手が身体へ伸びてくるががしりと掴んで阻んだ。
「あ、あのさ、今日は…」
「シャワー浴びてからがいいですか?」
「そういうことではなく、ですね」
腕を引かれ、抱き起される。藤くんの足の間に納まると戸惑いにささくれ立っていた気持ちが落ち着くのを感じた。
「あ、あのね、」
耳の裏を舐める舌の熱さにぞくぞくしながら口を開く。ああ、くそう。来なければよかった。
「なんていうか、その、今日…出来ないんだよね」
「え?」
「い、一応私にも生理と言うものがありまして…」
想定外の勢いで身体を引きはがされた。ぎょっとすると藤くんは私の身体を反転させ、自分の方を向かせる。両手で頬を包み込まれ、見つめ合った。ぱちくりと瞬きを繰り返す目から察するに慌てているらしい。
「だ、大丈夫ですか?お腹痛いとか…え、俺、どうしたらいいですか」
「……なんでそんなに慌てるの」
「いや、ほら、女性はその…そういう時身体辛いって言うじゃないですか。なんだ、もっと早く言ってくれれば良かったのに」
「なんか言いづらくて…セックス出来ないしがっかりさせるかな、とか」
「しませんよ。なに言ってるんですか。あ、だからなんか様子おかしかったんですか?」
「う、うん、まぁ…」
一因ではある。曖昧に頷くと藤くんはほっと息を吐いて優しく私を抱き締めるとゆっくりと腰の辺りを撫でてくれる。