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サイレントエモーショナルサマー
第13章 confusione
「じゃあ、志保さん。今日はお願い聞いてください」
来た。晶と暮らしていた頃よりもフェラチオに対する抵抗はない。藤くんが晶と同じようなことを言ったとしたら嫌だなと思うが、言われたとしても甘んじて受け入れよう。でも藤くんのをイカせるまでやっていたら口が閉じなくなってしまうかもしれない。
「な、なに?」
「志保さんと一緒に観たかったDVDがあるんです。いつでも寝れる準備して、一緒に観ましょう」
「それだけでいいの?口で抜けとかないの?全然やるよ」
「え?いや、志保さん今までどんな男と付き合ってたんですか。俺はね、性処理したいから志保さんとセックスしてるんじゃないんです。志保さんとしたいからしてるんですよ」
ま、後は志保さんの身体に俺を教え込みたいってのもありますけど、と付け加えて触れるだけのキスをする。
拍子抜けだ。言い出しづらくて身構えていたのはなんだったのだ。にこりと笑って私の髪を撫でる藤くんの目を見つめる。晶と同じ色の、晶とは違う瞳。そうか、私は口ですることが嫌なのではなく、藤くんに晶みたいなくそ野郎であって欲しくなかったのだ。
私の身体に触れる手だって、晶のものとはまるで違う優しさを持っている。
優しさなんて、欲しくなかった。そんなものいつかは消えてしまう幻だ。だったら最初から与えてくれなければいい。そう思っていたのに今は藤くんの優しさが胸に沁みる。
「志保さん?え、ここで泣きます?どうしたんですか、」
「わかんない…」
「はいはい、大丈夫です。あ、擦ったらダメですよ、腫れちゃうから」
ぽろぽろと泣き出すと藤くんはちょっとだけ戸惑った顔になる。だけど、すぐに微笑んで親指で優しく私の涙を拭った。