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サイレントエモーショナルサマー
第13章 confusione
交代でシャワーを浴びて、部屋を暗くしてソファーで寄り添って映画を観る。藤くんのチョイスはフランスの恋愛ものだった。サスペンス以外の映画は年単位振りだ。
「……藤くん、ごめん、眠たい」
「大人しいと思ったら…手、あったかくなってますね。赤ん坊みたい」
恐らく、映画は半分も観ていなかっただろう。うとうとと舟をこぐ私に呆れたように笑って、ひょいと抱き上げてベッドへと運んでくれる。
「おやすみなさい」
「……それ、初めてだね」
「確かに。普段いつの間にか寝ちゃってますもんね」
「なんか…変な感じ、藤くんの…」
「俺の、なんです?」
「うん…、」
藤くんの腕の中はあたたかくてなんだか涙が出そうになる。その言葉を口にすることなく、私は眠りについた。