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サイレントエモーショナルサマー
第14章 fantasma
温度を調整してお湯を溜めていく。晶のもとに戻るのが癪で、服を着たままじっとお湯を見つめた。

藤くんに連絡をしなければ、と思いながら溜まっていくお湯を見つめていると全裸になった晶が浴室へと乗り込んでくる。

「服脱げ。洗え」
「……」
「なんだよ、その顔」

私はセックスにムードなんてものを求める女ではないが、晶の暴君っぷりに股間にぶら下がるモノを見てもどきりともしなかった。今までであれば、熱いモノの入ってくる瞬間を想像して興奮することが出来たのに。

「もたもたすんなよ」
「はいはい」

服を脱ぎ、浴室の外へ放り出す。ドアを閉めるなり、晶はにやにやと笑って私の股間へと手を伸ばした。

「まだ、あんま生えてねえな。つーか、痕消えてるじゃねえか」

その言葉で晶が太腿に痕をつけていたことを思い出し、すっかり忘れていた自分に驚いた。ああ、と気のない返事をした私が気に入らなかったのかやわやわと太腿を撫でていた手がそこを思いきり抓った。

「ん…っ」
「抓られるの好きな女だな」

早くしろ、と促され立ったまま晶の身体を洗っていく。あの頃、肉付きの薄かった身体は幾らか厚みを帯びていた。従わされている悔しさで晶の乳首を引っかくとだらんと力なくぶら下がっていたモノが反応する。

一頻り身体を洗って泡を流すと私が湯をためた浴槽にざぶんと浸かった。その姿を尻目に私も自分の身体を洗う。

「志保」

入ってこい、という意味だろう。距離を取って浴槽に入ると腕を引かれ、晶に背中を預ける形になった。晶の舌がうなじを舐めて、湯の中の手は乳房を掴む。

「……っ…」

手探りでなんとか晶の膝を掴んだ。その行為は彼の気をよくしたらしい。鼻で笑った吐息が首を擽る。
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