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サイレントエモーショナルサマー
第15章 glicine
「へたっぴ。こうするんですよ」
「んんっ……」

微笑んだ藤くんが唇の端にちゅ、と口付けてから、またも舌を挿し込んでくる。分け与えられた唾液をごくりと飲み込むと藤くんの顔は離れていった。

「あっ…あっ…あァ…っ…ダメっ…もう…ッ」
「いいですよ」
「藤くん…っ…んんっ…!」

手のひらがぎゅうっとクリトリスを押しつぶす。中をバラバラに刺激していた指がまとまって私の感じるところを押すように苛めてくる。小刻みな速い動きと、ゆっくりと優しい刺激の緩急に高みへと押し上げられていく。びくっと腰が跳ねると、かわいい、と頬にキス。

「指、ふやふやになっちゃいましたよ。誰の所為かな?」

支えられながら、ソファーの肘掛に頭を預けて横になった。上下する胸元が見える。だらんと投げ出した足の間はぐちゃりと汚れて濡れ光っている。

「志保さんの手もべとべと…見て、志保さんがこうしたんですよ」

ソファーの横に座った藤くんは惚ける私の目の前に汚れた私の手を見せつけるように持ってくる。私が、彼を興奮させたのかと思うと今までにない幸福感が胸の奥に広がっていく。

「…おいしくない」
「志保さんのは甘いです」
「……うそだ」
「嘘じゃないですよ、ほら」

彼の先走りで濡れた指を反射的に舐めた。苦みに眉を顰めると、今度は私の愛液で濡れた藤くんの指が口元へと近付いてくる。躊躇いなどなかった。甘いかどうかはよく分からなかったけれど、全てを舐め取るように彼の長い指に舌を絡ませていく。

「んっ…ふ…ぅ…っ…」
「やらしい顔。俺の指、本気で食べようてしてるみたい」

もう終わり、と指を抜いて、座っていた藤くんは立ち上がる。身体を起こすのが億劫でそのままでいるとなにかを取って戻ってきた藤くんが私の足をソファーの上へと押し上げながらその間に腰を落ち着けた。

「藤くん…ちゅーしたい、」
「ね、気付いてます?志保さんね、気持ち良くなってるとキスじゃなくて、ちゅーって言うんですよ」
「…なっ…いや…え?」
「そういう時の顔、すごいかわいいです。とろんとして、あなたの目には俺以外映ってない」

たまらず顔を逸らすとそれを追うように藤くんの顔が迫ってくる。やんわりと触れて、唇を舐める舌。もっと、とせがんで口を薄く開くとちゅうっと吸い付かれて頭の奥がじりりと痺れる。
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