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サイレントエモーショナルサマー
第16章 falco pellegrino
暫くして唇を離すと、そのまま、顎、首筋と滑っていく。そうしながらゆっくりと押し倒され、隼人の唇は藤くんが咲かせた華のあたりでぴたりと止まる。

このワンピースに着替えて部屋に現れた時点で丸見えだった訳で、それについて特になにも言ってこないと思っていたが多少は気になるらしい。

ぴちゃ、ぴちゃ、と音を立てて痕を舐めていきながら、手は服の上から胸をやわやわと揉んだ。

「ふつーの子はさ、ワンピースの下、ノーブラノーパンじゃなくね?」
「…わかった。その辺すっ飛ばそう。とりあえず脱ぐね」

やっぱりいまいち気分が乗らない。一度起き上がってからワンピースを豪快に脱ぎ捨てると、隼人の視線は私の股間に釘付けになった。そりゃそうだ。そこは茂みを失くし、毛がまばらに頭を出し始めている程度なのだから。

「なにこれ。今、夢中になってる奴こういうのが趣味な訳?」
「これはあんたが痕つけた代償の名残」
「ふーん。そいつ、俺に嫉妬したんだ。気分いいね」

嫉妬、と言えばそれが一番近いだろう。私はその感情もよく分からない。一個人を完全に縛り付けることなど不可能だろうに、何故それが叶わぬと分かっていて執着するのかが理解できない。

もし、浩志に私よりも親しくしている人が居たとして、恐らく私はこれといってなにかを感じはしないだろう。もし、藤くんに私の他にセックスをしている人が居たとしても、おお、体力あるなくらいにしか思わない筈だ。

「罪な女だね。しーちゃんには嫉妬とか分かんないってのにね」
「なんで分かったの?そんな話した?」
「見てれば分かるっしょ。しーちゃんってさ、本質的に他人に全然興味ないんだよ」
「んん?ちょっと、その辺詳しく聞きたいんだけど」
「いや、無理。しーちゃんのここ見たら復活したし」

言いながら、ゆっくりと私の身体を押し倒す。にやにやと笑った隼人は嫉妬の名残を撫でて、開いた私の足の間に顔を近づけていく。
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