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第17章 ricordo

「もっと、こっち見てください」

ちらちらと藤くんの目を見ながら彼の指を舐めていると、もっとしっかり自分を見ろと言う。じっと見つめながら藤くんの指を舐めるのは結構恥ずかしい。

「俺は今、子猫にエサをあげてる気分です」

咥えていた2本の指が私の舌を押さえつける。なんとも言えない苦しさで眉間に皺が寄ったのが分かった。うっ、とえずくと抑える力は弱くなって、指先が上顎を擦る。

糸を引いて口から出ていく指は見事にふやけていた。そっと笑ってもうお決まりの引き出しに手を伸ばす。

「あれがいい？」

伝わるだろうか。不安を覚えつつ問うと、藤くんの笑みは深くなる。彼が好きな体位にするかと問うたのは恐らく伝わったようだ。

「動いてあげませんよ」
「藤くんのは挿ってるだけで頭溶けそうになるから平気」
「そんなこと言って、最後には動いてって泣くくせに」

やっぱり、藤くんは分かってくれたらしい。ゴムを装着してヘッドボードに上半身をあずけると、おいで、と腕を広げる。その中に飛び込んで首に抱き着きながら頬にキス。私を抱き締めた腕は身体を撫で、手が膣口に触れる。

ぐ、と突き破るような感覚。ん、と漏らすと背中に触れた藤くんの手がそこをゆっくり撫でてくれる。息を吐いて力を抜けば、苦しげにいきり立っていたモノがずぶずぶと入ってくる。

「んん…はいった…」
「気持ち良いです、志保さんのお尻がね、ちょっと震えてるとことかもたまりません」
「そういうの、いいよ…っ…」

私の首筋に舌を這わせながら、藤くんは手を震えていると言った尻へ伸ばす。柔く掴まれ、揉まれるときゅっと膣が締まる。藤くんは眉根を寄せて苦悶の表情を浮かべるが、私が見ていることに気付くと見るなとばかりにキスをしてくる。

「…っ…きもちいい、」
「顔見れば分かります」
「藤くんは…？」
「一昨日といい、今日といい…急にどうしたんですか？」
「んっ…だって、」
「だって？」

乳房を藤くんに擦りつけるようにしながら腰を動かす。同じように感じて欲しいのだ。私ばかりでなく、藤くんにもこの恐怖すら覚える快感を知ってほしい。